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コラム(今月の言葉)|Column
不便益の時代。「考える」でなく「深く考える」ことの重要性

ダイヤモンドオンラインの記事で気になるものを見つけた。
京都大学 システム工学 川上浩司特定教授の「不便益」という考え方だ。
 
川上氏が代表を務める不便益システム研究所のホームページを見てみた。
便利の押しつけが,人から生活する事や成長する事を奪ってはいけない.

•・日常なにげないバリアをあえて作り込んで身体能力を衰えさせないという考え方
 (バリアアリー)と,それを実践しているデイサービス
•・安全を担保するのは道路側ではない.車線も標識も信号も取っ払って,
 安全の担保は人に委ねる道(シェアードスペース)
•・電動サポートや自動衝突回避などの便利機能をつけるのとは逆向きに,
 「自分の足で,漕げ」という車いす(Cogy)

お手本になるデザインが,世界中で提案され始めています.



不便益という発想はユニークである。
川上氏は、京大の研究者たちがユニークなのだという。そのユニークさは「考える」だけでなく「深く考える」習慣が身についているからだと指摘する。
「考える」と「深く考える」の違いは何か。

例えば、鉛筆削りに鉛筆を差し込むと鉛筆が自動で削れる。これは、鉛筆を削ろうと思うと、鉛筆を穴に指しこむことだけ「考える」。
一方「深く考える」はそれだけにとどまらない。
不便益がそこにある。ナイフで鉛筆を削るとなったら、穴に差し込むことを「考える」より、「深く考える」ことをしなければわからないだろう。

 まず、ナイフをどう持ったら削りやすいか。次に、ナイフで鉛筆を削るということは怪我をするかもと想像する。そういった思考のプロセスが必要だ。つまり「深く考える」とは、プロセスごとにいろいろな発見をしながら、独自の答えを導き出す営みといえる。

キャリアカウンセリングは「深く考える」プロセスであると考える。
クライエントは、自分の悩みを「考える」。自分の頭の中で、または心の中で悶々と考えているかもしれない。
キャリアコンサルタントの問いかけに、クライエントは「深く考える」ことになるのだろう。
ある意味、ITの進歩によって速やかに答えが出る世界からすると、カウンセリングの世界は、不便益に近いのかもしれない。
私は、この不便益を大切にしていきたいと思う。


【かわかみ・ひろし】
1964年島根県生まれ。京都大学大学院工学研究科修了。博士(工学)。京都大学学際融合教育研究推進センターデザイン学ユニット特定教授。著書に『不便から生まれるデザイン』(化学同人)。
川上浩司氏は、京都大学工学部在学中は人工知能(AI)など知識情報処理を研究し、その後岡山大学を経て母校の京都大学で教えるようになった頃、恩師の片井教授から「これからは不便益の時代だ」の一言で方向転換を決意された。

機械化や自動化でより便利な方向へと時代が進む中、「不便がもたらす益=不便益」という視点による新たなシステムデザインを研究されている。




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