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コラム(今月の言葉)|Column
人形に魂を宿す

友人から、「先々上演はない『七化け(ななばけ)』(一人の人形使いが一人で七役をする)のある題目です。」と連絡をもらい興味を持った。私は、ファンタジー系とか、アクション系が好きなので、ぜひ観たいとチケットを頼んだ。一人の人形使いが、どのように演じ分けるのか、人形にどのように魂を入れるのかを知りたかった。
文楽への最初の動機は、友人に誘われるまま、強い興味はなかったが、どんなものかと観に行ったというものだ。

全く知らなかったその世界は、一つの人形を三人で操る。頭と右手がメインの人形遣いで主遣い、左手の担当が左遣い、足元の担当が足遣いの3人の組み合わせで人形に魂を入れていく。その扱い方によって、人形が息をしている人間にも、ただの人形のままにもなってしまう。3人がピッタリフィットしていると操っている人たちの姿が見えなくなり、人形がひとりで生き生きと演じて見えてくるのだ。


主遣いの考え方次第で、左遣い、足遣いが動く。いろいろな人形が登場するが、表現はいろいろ。今回の桐竹勘十郎氏は、3人それぞれが人形の役柄を理解し、その感情を味わい、共感的理解のもとで一つとなっているように思えた。主遣いの想像力と感受性がリードして、人形に魂を入れている。感情がしぐさに表れ、態度や行動に表れるのだ。勘十郎は、九役それぞれになりきって演じていた。

人形遣いは、台本から読み取った感情や想いを表現するのに対し、我々はクライエントが表現した語りからその感情や想いを受け取って、クライエントの台本を共に著作していくように思えた。クライエントの心に魂を宿すように。


因みに、今回の題目は、『玉藻前(たまものまえ)』。ストーリーはきわめてわかりやすいもので、悪の世界で世界制覇をたくらむ九尾の狐が、帝に愛された美しい姫を殺して成りすまし暴れまわる。陰陽師の安部泰成によって見破られ命を落とすが、殺生石となって夜な夜な悪さをするというもの。人形遣いが一人で、金剛九尾の狐を演じたのだが、空を飛び、神出鬼没の舞台に吸い込まれ、そして、最後の七化けは、瞬時に人形7人が人形遣いによって七通りの様子で生き生きと踊りまくったのだ。3人の息の合った関係が、いとも気持ちよく匠の技を見せてもらった一日となった。




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