キャリア&ライフデザインサポート|小西ひとみオフィシャルWebサイト|コラム(今月の言葉) Column キャリア&ライフデザインサポート|小西ひとみオフィシャルWebサイト|コラム(今月の言葉) Column
Home ご挨拶&プロフィール|Profile 主な活動内容|Work コラム(今月の言葉)|Column 読者からの声|Q&A お知らせ|Information お役立つリンク集|Link お問合せ|Contact us
コラムTOPへ戻る >>
コラム(今月の言葉)|Column
アンコンシャス・バイヤス 無意識の偏見「慈悲的性差別(Benevolent Sexism)」

プリンストン大学 社会心理学 スーザン・T・フィクス教授による講演が筑波大学であり、参加してきました。その時お聞きした内容のサマリーを中心に記載します。

フィクス教授の講演では、性差別のAutomatic and Ambivalent (自動化と両面的側面)について、両面価値的性差別理論(Grlik&Fiske,1996.2001)に基づいて話された。両面価値的性差別理論とは、性差別には「敵対的性差別(Hostile Sexism)」と「慈悲的性差別(Benevolent Sexism)」という2つの副次的要素があると仮定する理論的枠組みである。

人的資源のメタ分析の結果を見ても、男女の違いはほとんどない。リーダーシップスタイルには男女の違いがあった。女性は、他者と話しあいながら変革していくリーダーシップスタイルをとるとの傾向にある。また、OECD(2006)の15歳以上のやる気についてのアンケートで、男の子より女の子のほうがやる気が高かったという調査結果だった。ただし、スイスはマイナス、フランス、日本、ドイツはほんの少しだけプラスだった。これらの結果からみても、男女の違いはないことが示唆される。


敵対的性差別は、ジェンダーに関する否定的な評価やステレオタイプ(女性が男性より無能で劣っているというネガティブな考え方など)を明らかに反映している。

一方、 慈悲的性差別は、主観的にポジティブに見える行為(女性は男性によって守られる必要があるという考え方など)も、実際には人とジェンダーの平等をより広く損なうと指摘した。  

職場における敵対的性差別の結果はより広く知られ、現在は徐々に職場環境において受け入れられていきている。一方で、慈悲的性差別が女性の認知的パフォーマンスに深刻な影響を与える可能性があると指摘した。
慈悲的性差別は、一見ポジティブに見えるが、女性の自信とパフォーマンスを妨げる可能性がある。
例えば、女性のためにお金を提供するのは男性の役割、女性は守ってあげるもの、女性だから責任の重い仕事は与えられない、女性はコンピューターのシステムはわからないだろうから、代わりにやってあげるだけでやり方を教えなくてよい。

また、女性に対して機転が良い、気が利くなど男性よりもポジティブなコメントはしても、人事評価は男性よりも女性が低くなる。

難しい仕事を女性に与えないということでは、女性の能力は磨かれないことになり、企業としても人材の損失につながってしまう。


この慈悲的性差別は、女性側にも影響を与える。慈悲的性差別意識のある他者が、「何か手助けしようか?」と言ったとき、その女性が「自分でできます」とその行為を断った場合、その女性に対して「冷たい女性(生意気な女性)」」と思うという調査結果がでている。逆に、女性自身も「自分でやれる人は→冷たい人」と思われてしまい、そういうレッテルにジレンマを感じてしまう。つまり、社会的規範(女性は優しい、弱い、かわいいなど)とビジネスパーソンとしてありたい姿(自分でできる)とのはざまで、どちらかを選択しなければならない。職場環境が慈悲的性差別の人が多ければ、女性が「ビジネスパーソン」を選択することは勇気がいるだろう。

この両面価値的性差別理論は、女性だけでなく男性にも当てはまると感じた。男女ともに、男性はこうあるべきというある意味レッテルを貼っていることが多い。男女を意識することなく一人のビジネスパーソンとして仕事ができる環境が必要だろう。

そこに近づくための努力を続けていこう。




Column Top Page >>
キャリア&ライフデザインサポート|小西ひとみオフィシャルWebサイト